血圧とは何かから始まり、歴史、測定原理、平均血圧を見るべき理由まで話してきました。
今回は余談です。
「A-lineが入っている人でもNIBPを測らなきゃだめですか?」という臨床疑問に個人的な考えを述べます。
臨床でもたまに聞かれますし、ICNR Vol.7 No.1 【特集1】やめてほしいICUケア「Aライン入ってても,夜間もマンシェットで血圧測定しなきゃいけないの?」という項や、レバウェル看護 看護師の技術Q&Aでも「Aライン挿入中の血圧測定の間隔は?」という質問があるくらいには、疑問に思っている方がいるのだろうと思います。
なおICNRの方は、該当部分がオンラインで読めます。
余談の余談ですが、クリティカル領域で働く方はICNRぜひ購読すべき雑誌ですよ。
私の考えの結論から言えば、
自分の不安軽減や知識の無さのカバーのために患者に負担をかけることをするな
です。
ICUの血圧は「平均血圧」が問題になることがほとんどです。
平均血圧であればA-lineでもNIBPでも差はあまりないのであえてNIBPで測ることはしません。
差がないというのは、この辺の話を読んでもらえれば良いので割愛します。
なお、大動脈解離などの収縮期血圧が問題になるときであれば、オーバーシュートの原因を対処可能な範囲で取り除いた上で、ダンピングデバイスを噛ませるか、NIBPの併用を考えます。
ただし、A-lineがオーバーシュートしているのであれば、収縮期はより高く、拡張期はより低くなってくるので、A-lineの波形をトレンドで見れば気づけますし、急に血圧が高くなったのであれば、高くなった原因(疼痛など)があるので、まずは患者を観察し、原因を取り除く努力をすべきでしょう。
患者にNIBPを測り続ける負担を強いることよりも、必要なのは細かな観察力です。
NIBPを測っておけば、「A-lineと差があることもわかる」し、「『A-lineが正しくないかもしれないという不安』もなんとなく対処している気がする」でしょう。
前者は「そもそも測らなくても分かっている」ことですし、後者は「じゃあNIBPは正しいんですか?NIBPと差があったらどう対処するんですか?」というところまで考えていないと、ただ測って「値が違います」と報告するだけの伝書鳩になってしまいます。
なので私なら、
- A-lineが入っている人に、ルーチンでNIBPは測らない
- 患者の様子やA-lineのトレンドで把握する
- 収縮期血圧を問題にする病態の時で、どうしようもない時はNIBPも測る
- そもそもA-lineとNIBPの特性と限界を知っておく
といったところでしょうか。
余談はここで終わりですが、先のQ&Aが興味深いことを書いているので、次ページでそれについても私見を述べたいと思います。
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