よくカルテや口語で使われがちな医療用語や略語を思いつく限りまとめてみました。
語源も調べてみたので、新人や学生だけでなく、「○○ってどういう意味ですか?」と聞かれた先輩にも役に立つと思います。
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略語 / 用語 | 語源 | 備考 |
AAA | abdominal aortic aneurysm | 腹部大動脈瘤。スリーエーまたはトリプルエーと読む |
ABx | antibiotics | 抗生剤のこと |
Ad | admission | 入院のこと |
ADL | activities of daily living | 日常生活での動作 |
Ai | Autopsy imaging | 死亡時の病理画像診断。autopsy(剖検) imaging(画像診断) |
AN | aneurysm | 瘤 |
angio | angiogram | 血管撮影のこと。アンギオ |
apo | apoplexy | 脳卒中=stroke。脳梗塞の意味でよく「アポった」とか使われる |
AXR | Abdominal X-ray | 腹部レントゲン |
BP | blood pressure | 血圧のこと。 収縮期・拡張期はそれぞれSystolic BP:SBP、diastolic BP:DBPというのに平均血圧はmean arterial pressure:MAPというのは納得がいかないところ |
BS | blood sugar | 血糖。glucoseの略でgluと書く人もいる |
BS (スコア) | Bristol stool form scale | ブリストル便性状スケール。ブリっとstool(ウ○コ)が出ることを連想させる奇跡的なネーミング |
BSC | best supportive care | 病気を治す目的で積極的な治療をせず、症状緩和のみを行うこと。万策尽きた言い訳に使う言葉ではない |
BT | body temperature | 体温のこと |
BW | body weight | 体重 |
c/w | consistent with | 矛盾しない、整合性がある |
CC | chief complaint | 主訴 |
CKD | chronic kidney disease | 慢性腎不全 |
COVID-19 | coronavirus disease 2019 | 2019年に発生した新型コロナウイルス感染症。コビッド |
CPAP | continuous positive airway pressure | 人工呼吸器の自発換気モードのこと。自発呼吸だが吸気と呼気に機械が補助してくれる |
CXR | Chest X-ray | 胸部レントゲン |
DA | dissecting aorta | 大動脈解離。ただし英語ではaortic dissection :ADの方が一般的らしい |
DIV | intravenous drip | 点滴静脈。intra(中に)venous(静脈) drip(滴下) |
DM | diabetes mellitus | 糖尿病のこと。2型糖尿病をtype 2 DM = T2Dと書いたりもする |
DNR (DNAR) | Do Not (Attempt) Resuscitation | 「心停止時に心肺蘇生をしない」指示のこと。誤解の多い語である |
do. | ditto | 「同前」「同様」などの意味。ditto(同じ)の略であり、doではない。発音もディットゥ。でもみんなドゥーって読む |
DW | Dry weight | ドライウェイト。透析終了時に目標となる体重。基準体重ともいう。透析前の体重はwet weightというのだろうか? |
EBM | evidence based medicine | 根拠に基づいた医療 |
EBN | evidence based nursing | 根拠に基づいた看護。 「根拠は?」って言ってくる先輩が本当に根拠に基づいていることは少ない |
ECMO | Extracorporeal Membrane Oxygenation | 体外式膜型人工肺。コロナのせいで一般にも広く知られるようになった。 |
EDチューブ | Elemental Diet Tube | 「成分栄養」のチューブ。ハナクダ |
EN | elemental nutrition | 成分栄養。「経管栄養」の意味で使われる |
ENT | entlassen | ドイツ語で「退院」のこと。エントするとやっぱり嬉しい |
ES | essen | ドイツ語で食事のこと |
f/u | follow up | フォローアップ、経過観察 |
FH | family history | 家族歴 |
Fx | fracture | 骨折 |
GA | general appearance | 全身の外観の第一印象のこと。goodとかsickとか、たまにso so |
GE | glycerin enema | グリセリン浣腸。グリカンとも言う |
gul | ? | 腸蠕動音のこと。語源は不明だが、ぐるぐる言うからgul音?! |
HD | hemodialysis | 血液透析 |
HFNC | High-flow nasal cannula | 高流量鼻カニュラ酸素療法。 口ではネーザルハイフローというのに、書くときはHFNCだったりするからややこしい |
Hr | harn | ハルン。ドイツ語で「尿」のこと |
HR | heart rate | 心拍数 |
IC | informed consent | 十分な説明に基づく同意の意味。「十分な説明に基づいて同意する」のは患者の側なので、「患者にICしてきます!」と能動的に使うのは変な話。それは「病状説明」ではないのか? |
IM | intramuscular | intra(中に)muscular(筋肉)。筋注のこと |
IV | intravenous | intra(中に)venous(静脈)。静脈注射のこと |
kot | kot | ドイツ語で「大便」のコット |
KT | korpertemperatur | ドイツ語で「体温」のこと。body temperatureに同じ |
L/D | Laboratory Data | 採血等の検査データ。ラボデータ、ラボとも |
lt | left | 左 |
MAP | mean arterial pressure | 平均血圧。臓器灌流を表す。上の血圧から下の血圧を引いて、3で割ったものを下の血圧に足すと求められる。 「血圧は?」と聞かれてMAPを答えてくる人は今の所見たこと無い。 |
MAP | Mannitol-Adenine-Phosphate | 赤血球輸血のことをMAPという人がいるが、本当は赤血球に添加されているマンニトール・アデニン・リン酸のこと |
MET | Medical Emergency Team | 急変対応チームのこと |
MSW | medical social worker | 医療ソーシャルワーカー。退院支援で本当にお世話になる |
n. p. | not particularly | 「特記事項なし」の意。no problemだと思って使ってる人もいる |
NA / NAD / NAd | noradrenaline | ノルアドレナリン。商品名はノルアドリナリンなので注意。 nor(接頭語)+ad(上の)+renal(腎臓)=腎臓の上:副腎から出るアドレナリンからメチレン基が除去されたものという意味。英語ではNorepinephrineというのが一般的 |
NG | nasogastric | naso=nose 鼻、gastric胃。鼻から胃までの管。つまり経鼻胃管。 |
NS | normal saline | 生理食塩水(0.9%食塩水)のこと。生理的でない上に、なにもnormalじゃない液体。 |
OD | over dose | 過剰内服のこと。用法用量は守りましょう |
oint | ointment | 軟膏、または「軟膏を塗る」の意味でも使う人もいる |
p. o. | per os | ラテン語でby mouth(口から)。内服だけじゃなくても口から摂れば何でもp. o. |
PD | peritoneal dialysis | 腹膜透析 |
PD | Parkinson’s disease | パーキンソン病 |
PH | past history | 既往歴 |
PI | present illness | 現病歴 |
POD | post operative day | 術後○日。1PODが術当日を指すのか翌日を指すのか人によって違ったりする… |
PPE | personal protective equipment | 個人用防護具。コロナのご時世では必須 |
Pt | patient | 患者。昔は病気になったら耐える(patient)しかなかったのである |
r/o | rule out | 除外診断 |
RH | rehabilitation | リハビリテーション。みんな知ってるけど、一般の英語辞書には意外と載っていない |
ROSC | return of spontaneous circulation | 自己心拍再開。ロスクと読む |
Rp | prescription | 処方、処方箋のこと。recipeの略 |
RR | respiratory rate | 呼吸回数。温度板で取っていない人も多いけど結構重要な項目 |
RRS | rapid response system | 患者の急変前の「具合の悪さ」を拾い上げるための対応システム。 チームのことはrapid response team:RRTという |
rt | right | 右 |
s/o | suspect of~ | ~疑い |
SAH | subarachnoidal hemorrhage | クモ膜下出血。みんな「ザー」「ザー」って言うけど、多分なんの略か知らない看護師は多い |
SC | subcutaneous | 皮下注射のこと |
SG / S/G | Swan-Ganz catheter | スワンガンツカテーテル。心機能の評価ができるカテーテル。スワンさんとガンツさんが開発した |
SPONT | spontaneous breathing | 人工呼吸器の自発換気モードのこと。スポント。CPAPとほぼ同じ(会社によって呼び方が微妙に違う) |
ST | stunde? | 語源不明だが「時」を表すドイツ語が由来? 1スト(1時間おき)、4スト(4時間おき)という風に使う |
SVG | saphenous vein graft | 大伏在静脈バイパスグラフト。サヴェナって言いがち。 つづりを見れば分かる通り、サヴェナではなくサフェナ |
Sx | symptom | 症状 |
TAA | throacic aortic aneurysm | 胸部大動脈瘤 |
TB | Tuberculosis | 結核。ドイツ語読みでテーベーという |
v/s | vital sign | バイタルサイン |
VSS | vital sign stable | バイタルサイン著変なし |
w/c | wheel chair | 車椅子。water closet(トイレ)ではない |
WBC | white blood cell | 4年に1回開催される野球の世界大会のこと |
WNL | within normal limits | 正常範囲内。便利な言葉である。「変動の範囲内」とかいうよくわからない表現でも使う |
X-P | X-ray Photograph | X線撮影(いわゆるレントゲン)のこと |
アオルタ | aorta | 大動脈 |
赤 | red blood cell | 赤血球のこと。RBC輸血のこと |
明け | 夜勤明け | どんなに辛い夜でも明けない夜はないぞ! |
アズマ | asthma | 喘息のこと。アストマではない。「患者さんアズマです」と言われてもアズマさんではない |
圧定 | 圧迫固定 | ガーゼや止血綿などで圧迫止血をすること、またはその固定。圧定解除のことを「圧解」という |
アッペ | appendicitis | 盲腸、虫垂炎のこと |
アテレク | atelectasis | 無気肺のこと。肺に空気が入っていない状態 |
アンビュー | Ambu bag | 口から換気させるバッグ。ほら、医療ドラマのあれだよ! アンビューは会社名なので、バッグバルブマスク(Bag valve mask :BVM)と呼ぶほうがよい |
アンプタ | amputation | 切断の意味。四肢を切断すること |
アンプル | ample | 小さなガラス製の薬瓶。頭のところを折って(アンプルカット)薬液を吸い出す。皆1度は手を切ったことがあるはず |
入り | 夜勤入り | 2交代だと、夕方まで寝られるので個人的には入のほうが楽 |
陰洗 | 陰部洗浄 | おシモ洗いますね~ |
ヴァイセ (ワイセ) | white blood cell | 白血球のこと。ドイツ語のweis(白)から |
ウェッジ | pulmonary artery wedge pressure | 肺動脈楔入圧のこと。PAWPとも。 「せつにゅうあつ」「きつにゅうあつ」どちらが正しいのか論争は続く |
エーシス | asystole | 心静止のこと。エーシストールと言いがちだが、英語読みはエイシストリのほうが近い。 |
エス | Schizophrenia | 統合失調症のこと。「シゾ」とも言う。Scと書かれることも |
エデマ | edema | 浮腫のこと |
エピ / エピドラ | epidural anesthesia | 硬膜外麻酔 |
オルト | orthopedic | 整形外科。ortho(まっすぐ)+paidos(子供)が語源。子供の曲がった背中を矯正するのが由来。日本整形外科学会のシンボルマークを調べてみよう |
ガーグルベースン | gargle basin | gargle(うがいの) basin(たらい)。うがい用の受け皿のこと |
カルチ | carcinoma | がんのこと |
カルテ | Karte | みんな知ってる医療用語。英語で言うところの「カード」 |
ギプス | gips | ドイツ語で「石膏」の意味。骨折部を包帯や石膏などで固めて保護する |
ギャッチアップ | head up | ベッドの頭側を上げること。実は日本語英語でヘッドアップが正しい。ベッドを開発したWillis Gatchに由来するので、ギャッジアップでもギャッヂアップでもない。日本語では「頭側挙上」 |
急変 | 急に変化すること。語から言えば、「急に良くなった」という意味でも使えそうだが、良い意味では一回も使ったことはない | |
クラーク | 医師事務作業補助者 | 医療事務のこと。コスト漏れとか書類不備とかご迷惑おかけします |
血ガス | blood gas analysis | 血液ガス分析。BGAとも。ケツガスと読むが、怪しげなガスではない |
ケモ / chemo | chemotherapy | 化学療法のこと |
ケモラジ / CRT | chemoradiotherapy | 化学放射線療法のこと |
コアグラ | coagulation | 凝固した血液の塊のことを指すことが多い。本来は「凝固」の意味 |
ゴパグル / 5%グル | 5% glucose solution | 5%ブドウ糖液のこと。50%ブドウ糖の場合ゴジュッパグルという |
ゴプロ | 5 prozent | prozentはパーセントのドイツ語。5%をかっこよく言うとこうなる |
混注 | 注射液の混合? | 点滴のために薬を混ぜ合わせること。なんの略なんだろうね。ミキシングとも言う |
コンプライアンス | compliance | 安静や服薬など療養に必要な指示が守られていること。医療者が患者側になると大抵コンプライアンスが悪い |
サクション | suction | 吸引のこと。そのまま |
三活 | 三方活栓 | 朝活・婚活・就活など、いろいろな活動をしていること。転じて、いろいろな方向に薬液を流せる便利な栓。向きに注意 |
シーネ | schiene | ドイツ語。骨折時などに使用される添え木のこと |
自抜 | 自己抜去 | 点滴などを患者が自分で抜いてしまうこと |
シバリング | shivering | 寒いときに震えるアレ。手術後の覚醒時に起こりやすい。シバるともいう。「〇〇さんシバッてます!」といっても縛っているわけではない(多分) |
シャウカステン | Schaukasten | ちょっと古いドラマでレントゲンのフィルムを挟む、光ってる壁のアレ。レントゲンもデジタル化してなくなりつつある |
食介 | 食事介助 | 自力で食べられない患者の食事を介助すること |
白 | plate | 血小板輸血のこと |
スタットコール | stat call | 院内で急変などが起きたときの全館放送。ラテン語で「すぐに」の意味のstatim + call EMコールとかコードブルーとか、施設によって呼ばれ方はまちまち |
ステート | Stethoskop | 聴診器のこと。ドイツ語。英語ではStethoscope |
ステープル(ラー) | staple(r) | ホッチキスのこと、まじでただのホッチキス |
ステる | sterben | ドイツ語で「死ぬ」。あんまり使いたくない語である |
スパズム | vasospasm | 血管の異常収縮、血管攣縮(れんしゅく)のこと。vaso-(血管の) spasm (けいれん) |
清拭 | bed bath | 様々な理由でシャワー・入浴ができない患者の体を拭くこと。ベッドバス、BBとも |
ゼク | sektion | 解剖のこと。ドイツ語 |
ゼコる | ゼコゼコする | 痰で呼吸がゼコゼコとしている様子 |
セプシス | sepsis | 敗血症のこと。「ゼプシス」と濁る人もいるが、濁らないのが正しい。 |
タキる | tachycardia | 頻拍になること。「英語+る」の医療用語は多い |
ツッカー | zucker | ブドウ糖液のこと。ドイツ語で「糖」の意味。ゴプロツッカー(5%ブドウ糖液)。死語かもしれない |
ディスポ | disposable | 「使い捨て」の意味 |
デク / デクビ | decubitus | 褥瘡、床ずれのこと |
デコる | decompensation | 心不全の意味で使われる。decompensation:代償不全 |
デブリ | debridement | 感染組織や壊死組織を取り除くこと。 デブリをすることを「デブる」とは言わない |
ネクる | necrosis | 壊死(ネクローシス)すること |
熱発 | 発熱 | 「発熱」という単語があるのに、なぜネッパツという!? |
粘稠 | ねんちゅう | 略語ではないけど、よく読み方を間違える。ねんちょうじゃないよ |
バイアル | vial | 多くは口にゴム栓がついている薬瓶。栓に針を刺して薬を吸ったり溶解する |
ハイポ | hypo- | 下・未満などの意味の接頭語。一般的にはhypovolemia(hypo-volume :ボリューム不足≒循環血液量減少)の意味で使う事が多い |
ハルン | harn | ドイツ語で「尿」のこと |
パンペリ | panperitonitis | 汎発性腹膜炎。 「アッペのパンペリでドレナージしました」と恥ずかしげなく言えればあなたも立派な看護師 |
ヘマトーマ | hematoma | 血腫のこと。「けっしゅ」という方が早い気がする |
マーゲン | magen | ドイツ語で「胃」。医療業界で生き残る数少ないドイツ語の一つ |
マーゲンゾンデ | magen sonde | margen(胃) sonde(管)。英語で言うならstomach tube |
メイン | main | メイン輸液。メインで投与している輸液のこと。外液とか維持液とか、輸液療法の奥は深い |
メス | mes | 誰もが知ってる医療用語かもしれない。オランダ語で「ナイフ」の意味。でも英語はknifeではなくscalpel (スカルペル)という。日本語では…包丁? |
メタ | metastasis | 転移のこと。あちらこちらにがんが転移していることをメタメタと言うとか言わないとか… |
ラジ / radi | radiotherapy | 放射線療法のこと |
ルート | line | 点滴のこと。なぜrouteというのかは謎。投与“経路”だから? |
思いつき次第、追記していきます。
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